「なにを遺せますか」建造物 その3

毎日、神田近辺から京橋・銀座辺りまで通っているが、その道すがら気になった遺産的な建物について紹介したい。


これまでは、神田の優雅な丸石ビルや江戸橋の三菱倉庫・本社ビルを紹介したが、京橋にも親しみ深い名物ビルがある。その一つが明治屋の本社だ。

現在この地区は再開発で工事中、明治屋ビルも幌で囲われているが、昭和8(1933)年3月築の歴史的建築物はSRC・免震構造に強化され、今までの形でそのまま遺される。

再開発地区は高層ビルになるが、デザイン的には下の完成図のように明治屋に合わせたツインの前棟構成にしている。(清水建設Web Siteより)

ところで、明治屋はアルファベット表記ではMEIDI-YAだ、MAIJIではない。
(何故か「キャノンではなくキヤノン」という連想をする!?)

明治18年横浜で創業し、「食から文明開化を推進」との意気込みが、その名前や表記からも伝わってくる気がする。


同社のホームページを訪れ、その沿革を見ると驚かされる。

「1907(明治40年)米井源治郎、磯野長藏 他8名、発起人となり麒麟麦酒株式会社設立。」何とキリンビール創始者だったようだ。

また、「1908(明治41年)PR誌「嗜好」を創刊」と100年以上前に広報活動をしていることが分かる。


「1911(明治44年)株式会社明治屋設立。
MYジャム発売。」我々に馴染みのあるジャムブランドが100年以上前からあったとは驚きである。

明治屋のターゲットとした客層は、外国人や上流社会の一部の日本人であったのだろう。ロゴでも「PROVISIONS & WINE FROM THE WORLD」(世界の食べ物とワイン)と誇らしげに謳っている。



以前に、この建物に刻まれた「PROVISION」の単語が気になって、たまたま撮っておいたのが左の写真だ。辞書を引いたら、「複数形で食料」とあったので、納得した記憶がある。

建物の周りには、このPROVISIONに加え「WINE」という言葉が複数の箇所にあった。


右の写真の「My」マーク入り飾りテントの下にもPROVISIONとWINEの言葉が隠されていたのが分かったのは、テントの解体時だった。

創業時のものと思われるロゴの文字を昭和のビルに刻み込んだ思い入れに脱帽する。



実際に明治屋で買い物することは少ないが、同社が輸入しているウイスキーにはお世話になっている。


直近では、この強烈なバッファローラベルのバーボンを愉しんだ。

奨めてくれたバーの店主のウンチクでは、このラベルの形は、バッファロートレース蒸留所のあるケンタッキー州の地図の形ということだが、定かなことではない。

こちらを訪問すると楽しくなり、成る程となります。
http://www.meidi-ya.co.jp/merchandise/alcohol/buffalo_trace.html